葛飾北斎
江戸時代後期の浮世絵師。宝暦10年(1760年) - 嘉永2年(1849年)、化政文化を代表する一人。 終生描くことに情熱を燃やし、自ら「画狂人」と称し、90年に及ぶ生涯を画業一筋に歩んだ。
不朽の名作『富嶽三十六景』や、類い希なる探求心から折りにふれ、筆のおもむくままに描いた
『北斎漫画』があり、世界的にも著名な画家である。
森羅万象を描き、生涯に3万点を超える作品を発表した。若い時から意欲的であり、版画のほか、 肉筆浮世絵にも傑出していた。
北斎は70歳を越えてからの作品「富嶽三十六景」の発表により、風景画にも新生面を開いた。
北斎の業績は、浮世絵だけでなく、天才的な描写力を活かし絵手本として発行した世界初の
スケッチ画集『北斎漫画』は、人物、風俗、動植物、妖怪変化まで約4000図が描かれている。
1830年代ヨーロッパに浮世絵と共に偶然に渡り、フランスの印象派の画家たち
クロード・モネ、ゴッホ、ゴーギャンなどに影響を与えたとされる。
またドイツ人医師シーボルトが、その著書『日本』の挿絵に『北斎漫画』を使用している。
北斎の卓越した描写力と構図に驚嘆し、模写したり、そのエッセンスを作品のなかに取り入れた。
さらに、読本(よみほん)・挿絵芸術に新機軸を見出し、絵本を多数発表した。
45歳頃から精力的に取り組んだ読本挿絵の世界では、
「新編水滸画伝」の波瀾万丈のストーリーや 「椿説弓張月」のような荒唐無稽の場面などに、
北斎のダイナミックな構図が縦横無尽に描かれている。
「絵入読本は北斎によって流行した」と大評判となり、また、晩年の「釈迦御一代記図会」にも、
たいへん迫力ある挿絵が描かれていまる。
|