厳島(いつくしま)は、
広島湾の北西部に位置する、芸予諸島の島で、通称は安芸の宮島という。
松島・天橋立とならび、日本三景のひとつとして知られる景勝地である。
厳島の中心は、厳島神社であり、海上に浮かぶ朱の大鳥居と社殿で知られる。
嚴島神社は、式内社(名神大社)、安芸国一宮。
旧社格は官幣中社で、現在は神社本庁の別表神社。
古くは「伊都岐島神社」とも記された。
全国に約500社ある厳島神社の総本社である。
ユネスコの世界文化遺産に「厳島神社」として登録されている。
古代から島そのものが自然崇拝の対象だったとされ、
平安時代末期には、平清盛が厚く庇護したことで大きく発展した。
現在、平安時代の寝殿造りの粋を極めた建築美で知られる
本殿、幣殿、拝殿、祓殿、廻廊(いずれも国宝)などのほか、
主要な建造物はすべて、国宝または国の重要文化財に指定されている。
廻廊で結ばれた朱塗りの社殿は、
潮が満ちてくると、あたかも海に浮かんでいるような独特の景観となる。
皇族・貴族や武将、商人たちが奉納した美術工芸品・武具類にも貴重なものが多く、
中でも清盛が奉納した「平家納経」は、平家の栄華を天下に示すものとして
豪華絢爛たる装飾が施されており、日本美術史上特筆すべき作品の一つとされる。
厳島神社および弥山(みせん)原始林は、
1996年にユネスコの世界遺産に登録されている。
海岸の一部が2012年(平成24年)、ラムサール条約に登録された。
島の最高峰・弥山(535メートル)山頂から望む瀬戸内海の多島美も人気があり、
毎年元旦未明には初日の出を目指す人で混み合う。
この地を愛した伊藤博文は
「日本三景の一の真価は弥山頂上からの眺望に有り」と絶賛し、
それがきっかけで明治時代後期に弥山への一般登山路が整備された。
島の全域(周辺海域を含む)が1934年(昭和9年)に瀬戸内海国立公園に編入され、
自然公園法が定める特別保護区域となっている。
1952年(昭和27年)には国の特別史跡及び特別名勝に指定され、
弥山の原始林は国の天然記念物に指定されている。
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